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平成24年度第11回四国老施協セミナー

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四国老人福祉施設協議会・香川県老人福祉施設協議会の主催により、表題の大会がJRホテルクレメント高松で開催され、健祥会グループからもたくさんの職員が参加しました。初日は四国老人福祉施設協議会会長・健祥会グループ理事長 中村博彦による特別講演が行われました。


「2025年型施設はどうあるべきか」
中村博彦講演要旨

02「2025年をめざし、社会保障改革が行われようとしている。今年は正念場、おおいにチャンスがあり、生かすも殺すも現場の声をどう発信するかにかかっている。介護現場の人材難は質においても量においても深刻であり、一朝一夕の解消は難しいが、制度設計の問題点を世論へ訴えるとともに、供給体改革を図っていくしかない。1,000万人を切った製造業に代わって雇用を担うのは、介護・医療・保育しかない。にもかかわらず環境整備ができていない。公共事業ばかり増やして、それで成長戦略と言えるのか。消費税を2%上げるのも並大抵ではないのに、2025年には介護保険料は1号被保険者も2号被保険者も10,000円を超える。理解を得るにはサービスの質が大きく問われるということだ。だから、ブーイングの出る前に科学的介護をすすめ、高品質サービスを提供できる特養をつくらねばならない。患者と家族など周辺の人々を併せると2,000万人ともいわれる認知症は、特養こそが拠点施設として担っていくのだ。
特養の内部留保について、間違った認識のもとに批判がされているが、2年後の報酬改定では、溜め込み型の施設のせいで不利に動くことを回避せねばならない。だから、科学的介護に取り組む挑戦型へと転換が必要。そして、社会福祉法人の社会的使命として、低所得者層を守らねばならない。生活権を守るためにどんどん提案すべき時だ。すべては人材にかかっている。EPA人材の人員配置基準への算定が認められることとなった。今後は国家資格取得を在留許可要件にするよう求めていく。
サービス付高齢者住宅という新しい既得権益が荒稼ぎをしている。10年にわたる特養たたきの末、行き着いたのが1ベッド100万円の非効率な制度だ。サービス付高齢者住宅は終の住処にはなり得ないという現実が、「老人漂流社会」として先日のNHKスペシャルで取り上げられていた。月平均5.5万円の2,850万人の国民年金層に利用できるはずがないのに、個室ユニットオンリーの政策はおかしい、施設努力で今の多床室はプライバシーの保てる準個室になっている、と田村厚生労働大臣にも申し上げた。65歳以上高齢者の41.8%が年収100万円未満という現実、これでいったいどこに安心があるのか。制度の問題点を世論に訴え、変える努力をしなければならない。
国会議員としての初質問で介護現場の医行為の問題を取り上げ、進展をみたが、まだまだ、医療・看護の基礎領域には規制緩和が必要だ。これなくしてチームケアは構築できない。介護の守備範囲を広げるための規制緩和をさらに訴えていく。また、ケアプランなくして挑戦はあり得ず、施設にケアプランナー配置が必要だ。2015年、特養ケアが光っているように、専門性をつくっていかねばならない。自然増は容認されたままだが、何がムダか、何を抑制するか、ムダを削るには制度の内なるものからの提案が必要だ。発信すべきことを発信し、身を切るべきところは身を切る提案を行い、4県一体で頑張っていこう!」

02

続いて、公益社団法人 全国老人福祉施協議会 鴻江圭子副会長の「中央情勢報告」、医療法人社団パリアン クリニック川越副院長 中島一光氏の「地域の安心を支える施設と看取りケア〜自分らしい最期を迎えるために〜」、翌5日には、日本社会事業大学社会福祉学部教授 村川浩一氏の「2025年にあるべき社会福祉法人の姿とは」、そして、「これからの社会福祉法人の運営と新会計基準の適用上の留意点」と題して宮内会計事務所 所長 宮内忍氏が、それぞれご講演くださいました。
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団塊の世代が75歳以上、高齢化率33%という2025年に向かって、制度はどうあるべきか、介護はどうあらねばならないか、社会保障制度の中に働く者として真摯に向き合わねばならない・・・そんな思いを参加者すべてが共有し、明日への決意を確かめたセミナーでした。

[記事公開日]2013/02/07(木)

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