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第69回全国老人福祉施設大会広島大会に参加して

会場全景

「地域を支える拠点施設として・・・!科学的介護の実践〜在宅314万人施設89万人の利用者・家族の安心システムとは〜」とテーマを掲げて、第69回全国老人福祉施設大会が広島県広島市にて開催されました。全国から2,600名、健祥会からも50名余の職員が参加しました。


開会式典では、厚生労働省老健局長代理として高齢者支援課深沢典宏課長、湯沢英彦広島県知事、松井一實広島市長、斉藤十朗社会福祉法人全国社会福祉協議会会長ら来賓の皆様の祝辞に続いて、永年勤続者や役員の表彰、介護作文・フォトコンテスト表彰第5回笑顔をありがとう介護作文・フォトコンテスト表彰が行われ3日間の日程がスタートしました。

初日全体会は、公益社団法人 全国老人福祉施設協議会(全国老施協) 中田清会長による基調報告「科学的介護の実現と介護保険制度の展望」、全国老施協常任顧問・参議院議員・中村博彦健祥会グループ理事長の「日本再生・・・2025 社会保障の姿を考える」と題した問題提起がなされ、全国の仲間に向かって奮起を促しました。さらに、東京福祉大学客員教授・元毎日新聞常務取締役・全国老施協理事 河内孝氏の「自衛する老後〜介護崩壊を防げるか〜」、俳優、歌手、厚生労働省特別参与、法務省特別矯正監、日越特別大使、越日特別大使、そして福祉家、さまざまな顔を持つ杉良太郎氏の「福祉・想いのまま」、素晴らしい2つの講演に2,600人が耳を傾けました。

河内孝氏の「自衛する老後〜介護崩壊を防げるか〜」 杉良太郎氏の「福祉・想いのまま」
河内孝氏
「自衛する老後~介護崩壊を防げるか~」
杉良太郎氏
「福祉・想いのまま」

「科学的介護の実現と介護保険制度の展望」中田清会長基調報告要旨

中田清会長基調報告24年の介護保険制度改正・報酬改定は施設から在宅への流れの中で、事業者にとって厳しいものとなった。施設では多床室が減額となり、通所についてはデイリハもデイサーサービスもダウンしている、また、包括報酬制で高コストの地域包括ケア24時間定期巡回・随時対応サービス、複合型サービスが創設されたが、中小企業・零細事業者には実施が困難であり、人材確保も難しい。すでに全国に整備されている特別養護老人ホームや老人保健施設を核として地域包括ケアを進めればいい。我々は、地域包括ケアシステムの問題点を質すために現場発信しなければならない。特養が中心となり、疑問の声をまとめてしっかり発信することが我々の使命だ。施設から在宅へではなく、「施設も在宅も!」支えていかねばならない。また、問題提起するだけではなく、我々のサービスの質を高め、特養が中心となって、施設だからこそ可能な介護、エビデンスに基づいた科学的介護を実践していかねばならない。


「日本再生・・・2025社会保障の姿を考える」
全国老施協常任顧問・参議院議員・中村博彦健祥会グループ理事長問題提起要旨

現場発信あってこその制度であるはずなのに、介護保険制度になって、現場を省みず、現場を無視して机上での制度づくりが行われているような感がある。年金崩壊寸前のときに、個室ユニットオンリーでは立ち行かない。こんな制度がまかり通るのは現場発信が弱っているのではないか。本大会は来年70回という節目を迎えるが、先輩たちがどんな思いで高齢者介護をつくってきたかに思いを致し、勇気を振り絞って発信しなければならない。製造業の失速する今、国内雇用を求める先は、介護医療しかない。しかし旧態依然の制度では無理。社会福祉法人改革なくして雇用は生まれない。封建社会のような事業体ではなく、キャリアアップの道があってこそ人材が門戸を叩いてくれる。社会保障と税の一体改革に向けて、医療・介護の法改正が臨時国会、来年の通常国会で準備されるだろう。介護保険料は、第1号被保険者が2012年の5,000円から2025年には8,200円に、第2号被保険者は4650円が9,300円になる。国民感情を考えれば、我々は自ら効率化を図り、正当性を納得していただけるシステムとしなければならない。既存多少室を7,400円、新設は9,900円もダウンさせ、ニーズはあるのにペイできない、つまり多少室をつくらせない制度となってしまった。こんな制度がまかり通っていいはずはなく、現場発信の制度をつくらねばならない。また、認知症ケア、看取りなど、科学的介護の構築・実践し、ニーズに応え、地域を支える高機能特養となれなばならない。そのためにも人材面の弱さを克服していかねばならない。
内部留保の問題がいわれているが、運転資金も人件費積み立ても改築積み立ても将来的投資も必要だ。すべてに見せる化を図り、理解を促していく必要がある。
一歩前へ。人に指摘される前に自らの改革が必要。同時に厚労省へも改革をぶつけていくときだ。あとに続く人材にすばらしい制度をバトンタッチできるよう、私も頑張る。


2日目はテーマ毎の6分科会において、講演、講義、実践発表などに参加、3日目の全体会「科学的介護の実践〜根拠に基づいた介護を〜」と題したシンポジウムでは、4人のシンポジストからさまざまなアプローチからの実践報告や提言がなされました。閉会式で開会宣言が採択され、来年開催地和歌山県にバトンが渡されて、3日間にわたる大会が幕を閉じました。勉強の成果をそれぞれが施設へ持ち帰り、地域の安心を担う施設としてしっかりと士気を高め、科学的介護づくり人材づくり自己研鑽に取り組んでまいります。

[記事公開日]2012/10/30(火)

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