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「新成長産業としての介護」
第63回四国老人福祉施設関係者研究大会に
参加して
「新成長産業としての介護」と題して、第63回四国老人福祉施設関係者研究大会が徳島市で開催されました。四国四県から介護関係者850名が参加。健祥会グループからも桝田和平介護保険・福祉支援室長が2日目の分科会の講演者、片山和幸施設刷新・戦略部部長が発表の助言者となるのをはじめ、健祥会、緑風会から108名が参加し、現状分析と明日への課題について学びました。 1日目、アスティとくしまでの全体会では、特別養護老人ホーム健祥会ハイジの三國久美子が司会を務めさせていただき、主催者挨拶、永年勤続者への感謝状贈呈に続き、徳島県知事 飯泉嘉門氏、徳島市長 原秀樹氏、徳島県社会福祉協議会会長 岸一郎氏からご祝辞をいただき、大会が幕を開けました。
全体会では、公益社団法人全国老人福祉施設協議会 総務・組織委員長太田二郎氏による基調講演「新成長産業としての介護〜現場が考える介護の姿〜」、厚生労働省老健局高齢者支援課長 髙橋 謙司氏の「高齢者福祉を巡る諸課題について」、さらにNPO法人 高齢社会をよくする女性の会 理事長 樋口恵子氏からは「地域の課題と老人福祉施設等の役割」と題してご講演をいただきました。
樋口氏からは、中村博彦健祥会グループ創始者との思い出を交えながら、「介護はすべての国民が関わらざるをえない課題であり、今はまさに、大介護時代である。経済情勢の厳しい中ではあるが、社会福祉法人には個人の尊厳を重んじる介護を守ってほしい。また、少子化が進み、生涯独身の人が増えた大ファミレス社会にあって、高齢者の安全とささやかな資産をどう守り使うか、実例に応じた提言を特養から発信してほしい。無縁社会・無援社会を、血縁がなくとも地域を土台に助けあい支えあう有援社会にしなければならない。そのためには歴史があり、介護のノウハウや地域の情報のぎっしりつまった特養こそが核となる」と、特養への期待が語られるとともに、「財政上の問題で在宅が推進されることは致し方ない面があるが、無い物ねだりはできず、今後、集住ということが施策のキーワードとなるだろう。動物はみな、食べて寝て排泄して生きるが、介護は人間だけの行為であり、人間の証明である。この崇高なる介護という行為を社会のどこに位置付けるかで社会の品格が決まる」として、特養での看取りについて触れ、最後に「介護する人が幸せでなければされる人は幸せにはなれない」と、現場で働くものにとって心に染み入るエールで1時間半の講演を締めくくってくださいました。
2日目は、介護保険制度の見直しと地域包括ケアシステム、介護人材確保と育成、看取り介護、認知症ケア、栄養ケアマネジメント、災害対策への取り組みなど、テーマ毎に8つの研究部会に分かれて、講義や発表があり、活発な意見交換が行われました。健祥会からは、第4と第8分科会で発表を行いました。
■ケアハウス健祥会アンダルシア/介護支援専門員 仁木康統
「地域包括ケアにおけるケアハウスの在り方とは」
介護保険制度改定への危機意識を高く持って運営にあたらねばならないこと、ケアハウス入居者の重度化への対応や、在宅の延長としての地域との連携、さらには看取りへ取り組みの必要性などについて、現状分析と改善策を発表しました。
■特別養護老人ホーム健祥会たんぽぽ/介護支援専門員 桃平文代
「プライバシーに配慮した多床室の整備について」
ハードとソフト両面から、プライバシーと個人の尊厳を守るための問題点を探り、地域需要に応じた居室の整備と、介護従事者への倫理教育、自分たちが生活したいと思える施設づくりの必要性について、課題を確認。改善に向けた取り組みが報告されました。
2日にわたる大会を終え、中村博彦創始者が全国老施協常任顧問として構築してきた科学的介護、「5つのゼロと4つの自立支援」に取り組み、介護サービスの質の向上と充実を図ることの重要性が確認されるとともに、施設が地域包括ケアの核として地域の安心を担えるよう、諸課題を乗り越え、新しい時代の社会福祉法人として自己改革を遂げていかねばならないと共通認識した2日間でした。来年は香川県にて開催されます。
[記事公開日]2014/07/10(木)