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セラピードッグに笑顔で頬ずり
ご高齢者や、認知・自閉症などの障害を持つ方々に、心身のリハビリテーションを目的としたプログラムを実施するドッグセラピーが、今、話題となっています。
大木トオル氏 |
アメリカで早くから盛んだったドッグセラピーを日本に紹介したのは、大木トオル氏。音楽家として世界で活躍するかたわら、日本で一般財団法人国際セラピードッグ協会を立ち上げて啓蒙・普及活動を展開し、現在、日米の病院や高齢者施設、障がい者施設など、多くの現場でドッグセラピーを実践しています。このほど、三匹のセラピードッグとともに特別養護老人ホーム健祥会モルダウを訪れ、健祥会モルダウ、ケアハウス健祥会リバティ、デイセンターザトペックの利用者様とのふれあいのひとときをつくってくださいました。
三匹はいずれも、動物愛護センターで殺処分になるはずだった捨て犬。大木氏の考案した訓練カリキュラムに沿って2年半かけてセラピードッグとして育て上げられたものです。
ドッグセラピーについて大木氏よりの説明のあと、専門教育を受けたハンドラーの様々な歩きに合わせ、三匹が上手に寄り添い歩くデモンストレーションが披露されると、利用者様は笑顔で拍手を送りながら興味津々の様子です。その後、三匹が会場をまわって利用者様一人ひとリのもとへ。どなたも、自身のところまでやってくるのを待ちかねながら、教わったばかりの名前を呼びかけて、頭を撫でたり頬ずりしたり。「昔飼っていた子によう似とう」と目をほそめる利用者様も。「賢いねえ」「かわいいなあ」という声とともに、嬉しそうな笑顔が会場中にあふれました。うとうと眠っていた利用者様が、セラピードッグがそばに来ると目を覚まし、手を差し伸べたのにはびっくり。わずかの時間にも癒しと活性化の効果を感じることができました。
犬の名前を覚えることがきっかけとなり、忘れていた家族の名前が記憶の底から蘇ったり、繰り返し触ることにより手や足が動かせるようになったり、ドッグセラピーは計り知れない力を秘めているそうです。大木氏は、60匹のセラピードッグとともに、年間12,000人もの方々にセラピーを提供しているとのこと。ますます普及に努めることで、できるだけ多くの方々に心身のリハビリを提供するとともに、捨て犬と被災犬を救い、殺処分ゼロをめざしたいと話してくださいました。
健祥会本部長中村晃子から、「ドッグセラピーを実際に直近で見たのは初めてですが、皆様がこんなに笑顔になってくださることに驚きました。セラピーの持つ大きな可能性を実感させていただき、とても嬉しいです。今後も、皆様の笑顔と喜びと自立のために様々なプログラムに取り組んでいきたいと思います」との挨拶がありました。
大木様、ハンドラーの皆様、三匹の「ミカ」「だいだい」「ライム」、楽しいひとときをありがとうございました。またぜひ健祥会へ来てくださいね。
徳島新聞に掲載されました。
■徳島新聞(2016/04/19掲載) |
[記事公開日]2016/04/18(月)