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理事長挨拶(2021/01/01)

「新しきこと」に挑み続けた10年

世界中の国と人々が等しく同じ困難に直面することになった2020年、記憶に深く刻まれるであろうこの年に、健祥会グループは創立40周年を迎えました。
1979年、少子高齢化の加速により高齢者福祉と幼児期教育への要請が高まることを見越し、社会の安心をつくろうと、私たちは、ひとつの特別養護老人ホーム、ひとつの保育園からスタートしました。以来40年、常に現場のニーズに寄り添い、規制と闘い、制度を先取りしながら、地域に根ざし、地域に安心を紡ぎ続けています。
創立からの30年が発展と拡大のエポックであるなら、2010年からの10年間は、「新しきこと」への挑戦のエポック。果敢に改革に挑み、組織の態様を整え、進化させてきました。

今、人々は叡智の限りを尽くしてウイルスと闘っていますが、ある程度の収束を見たとしても、おそらく私たちの暮らしが元に戻ることはないでしょう。私たちは感染症に備えながら、ニューノーマルを生きていかねばなりません。
一方でこの度のパンデミックは、いのちの尊さ、家族の素晴らしさへの気づきをもたらし、医療・福祉そして教育・保育が社会を支える必要不可欠のものであることを強く認識させてくれました。エッセンシャルワーカーとして職員のモチベーションが高まり、若手職員が自発的にプロジェクトを立ち上げたり、専門部会などでも丁々発止の議論ができたり、内なる充実を見た思いです。

新型コロナ対策で歳出は大きく膨らみ、税収の下振れも見込まれる中、国家の財政運営が厳しさを増すことは必至です。そして今年は介護報酬改定の年。厳しい中での微増が決定しましたが、中身の詳細はまだ見通せず、75歳以上の医療費負担増や児童手当の特例給付の打ち切りが示されているように、今後社会保障への切り込みは容赦なく行われていくことでしょう。
私たち事業者にとっては、サービスの質の向上と業務の効率化が最重要課題であり、ICTの活用や業務改革・経営改革をさらに推し進めていかねばなりません。その一環として、すべての介護現場に効率化のための新しいソフトウェアの導入を決定。デジタルトランスフォーメーションにもチャレンジしていく計画です。

「福祉は人 人は心」
「心と心」を原点に

質の良いサービスの鍵となるのは人財の質です。良い人財に選ばれる職場であるために、数年来、ワークライフバランスへの取り組みや健康経営を推進するとともに、キャリアパスを明示し、誰もが未来を描き、働きがいを感じながら働き続けることのできる環境づくりをすすめてきました。各機関から取得した様々な認証がその成果を評価してくれています。また、コロナ禍で起こる産業構造の変化を見据え、他産業からの人財流入を促すためにも、さらなる処遇改善と働きやすくやりがいのある職場づくりをすすめてまいりたいと考えます。
創立時から、女性の活躍が顕著だった当グループにはダイバーシティというDNAが脈々と息づいています。制度創設時から意欲的に迎え入れてきたEPA人財も、そして技能実習生や特定技能資格での人財も頼もしい戦力となりグローバル化がすすんでいます。人種、国籍、性別、年齢、障がいの有無、働き方などすべてを超えて、職員一人ひとりの個性を尊重し、このDNAを大切に、さらに進化させていきたいと考えます。

「福祉は人 人は心」と定めた会是、「心と心」と謳った理念、この原点の上に拠って立ち、「サービスの質の追求」「職場での共創」「地域社会への貢献」という不変の行動指針を職員一人ひとりが常に自らに問い、成長することで、組織は強くたくましくなり、新たな挑戦、さらなる進化が実現すると確信します。

コロナ禍のその先へ

コロナ禍は、グローバル世界の様々なシステムの脆弱さを露呈させました。今、人の価値観は、目先の利益・快適性・利便性から、健康・安心安全・持続可能性・社会扶助へとシフトしています。そんな中、私たちの事業は未来永劫、社会にとって必要不可欠。デフレになろうと、自然災害が起ころうと、AIがめざましい進展を遂げようと、医療福祉・教育保育だけは、「人のための人の仕事」として不滅です。
そのことの大きな意味と、お支えくださるすべての皆様への深甚なる感謝を胸に、地域社会に大きな安心を描くために、今年も1日1日を大切に歩んでまいります。

2021/01/01

令和三年訓

コロナ禍で世界の平穏が大きく揺らいでいる今こそ、健祥会グループの福祉の原点に立ち還り、人としての資質を大切に育む1年にしてほしいとの願いを込めました。