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理事長挨拶(2019/01/01)

いつでもどこでも 地域に根ざし絆を紡いで

「福祉は人 人は心」「心と心」を掲げ、福祉が輝く社会を夢見て、1979年、ひとつの特別養護老人ホームからスタートした健祥会グループ。現場のニーズに応えるために規制と闘い、規制の壁の一つひとつを実践で乗り越え、時代に先駆けるサービスで地域に安心を届けながら、高齢者福祉から障がい者福祉、医療、幼児教育、人財育成まで、幅広く事業展開を図ってきました。徳島から、香川、高知へ、大阪、京都、東京へとそのフィールドを広げ、現在、66施設を展開、健康づくりやスポーツ・文化振興など、様々な地域活動を精力的に実践しながら、地域に根ざし、地域との絆を紡いでいます。

現場を大切に 時代の求めるものを見極めて

人口減少期に入り、大きな変革のときを迎えた日本。社会保障分野においても制度の持続性を高めるための改革がすすめられており、グループ内の社会福祉法人健祥会と緑風会は、特定社会福祉法人として社会への大きな責任を負い、ガバナンスと財務規律の厳格化、組織の透明性、地域貢献をより高いレベルで実践してまいっております。今後も先駆的に、新しい時代の社会福祉法人の姿を描いてまいりたいと考えます。
女性の活躍を支える専門職として、保育士の給与アップが図られ、また本年10月からは保育料の無償化が実現します。無償化にもさまざまな問題をはらんでいますが、グループ4園では、「人としての基礎がつくられる3・4・5歳期の教育が子どもの未来を決する」という揺るぎない信念のもと、引き続き、質の高い就学前教育、保護者のニーズに沿った保育に努めてまいるのみです。
医療も介護も保育も、現場を取り巻く状況は常に流動的であり不透明です。制度に左右されるビジネスである以上、アンテナを高く、しっかり情報収集しながら、しかし、制度に振り回されることのないよう、現場を大切に、時代の求めるものを見極めていかねばなりません。

そこにニーズがある限り 挑戦あるのみ

人口減少が加速し、今、福祉業界での人財確保は困難を極めています。また過疎の山間部ではすでに高齢化がピークを超え、利用者も減少傾向にあるという厳しい現状にあります。しかし、困難を前に手をこまぬいているのではなく、そこにニーズがある限り挑戦あるのみ。昨年度は徳島市国府町にグループホーム「元気」を、美馬市脇町では医療法人より譲渡を受けて介護老人保健施設「センターヴィレッジ」を開設しました。また人財養成にもさらに力を入れるべく、「専門学校 健祥会学園」が文科省の『職業実践専門課程』の認可を得て、新たな歩みを始めています。

長年のノウハウでグローバルな共生職場を

人口減少による人手不足を補うために、外国人労働者の受け入れ拡大が図られようとしています。健祥会グループでは、創始者中村博彦の強い意思で実現したEPAによる介護看護人財交流において、初年度からアジアの人財を積極的に受け入れ、現在、インドネシア、フィリピン、ベトナムの人財が197名在籍するとともに、介護福祉士国家資格合格者も多数輩出し、頼もしい戦力となっています。また、徳島医療・福祉協同組合を立ち上げ、ベトナムからの技能実習生4名が本年1月に入国し、3月より施設での就労を開始する予定です。
この先、新たな在留資格により外国人財の受け入れがさらに進んでも、長年蓄積した教育と共生のノウハウで、日本人も外国人も働きやすいグローバル職場をさらに進化させていけるものと確信します。

不変の行動指針を掲げて

私たちは、不変の行動指針として、「サービスの質の追求」「職場での共創」「地域社会への貢献」を掲げています。
現在、特に注力しているのが「職場での共創」です。私たちの仕事は人の質がサービスの質に直結しますから、魅力ある職場、選ばれる職場でなければならず、そのために職環境と働き方の改革をすすめています。「仕事と家庭」を両立できる柔軟な職環境づくりと、キャリアパスが示された未来の見える人財育成の推進もその一環です。
子育て応援手当の創設や男性の育児休暇取得の推奨など、ワークライフバランスの実現に向けた改革も加速させるとともに、ICTによる効率化や、ロボットによる介護職の負担軽減など健康経営に取り組んでいます。女性活躍推進法に基づく「えるぼし」三つ星認定や育児を応援する「はぐくみ支援企業表彰」、「女性活躍パワーアップ大賞優秀賞」「とくしま子育てサポート賞」の受賞など、嬉しい評価も改革を後押ししています。
創設時から、女性の活躍が顕著だった健祥会グループ。ダイバーシティをDNAとして、人種、国籍、性別、年齢、障がいの有無、働き方など職員一人ひとりの個性を尊重し、誰もが活躍できる環境づくりをさらに推進してまいります。
もちろん忘れてならないのが、施設は地域のお支えで成り立っているということ。これを職員が常に胸に刻み、単に施設サービスだけでなく、災害時にも地域の安心の核となれるよう、地域との連携を強固にし、平時においては、文化の発信や専門分野での情報発信、啓蒙活動に努めています。

新しい発想のもと さらなる進化を

人財確保や生産性向上、AI対応など、課題は山積しています。社会保障分野といえどもしっかりと戦略を以って経営に臨まねばなりません。働く人からも利用者からも選ばれ、地域で喜ばれる事業体であるために、問題解決ではなく、問題発見に重きをおく「デザイン思考」を大切に、新しい発想で、新しい機能を生み出し、さらなる進化を果たしてまいりたいと考えます。立ち止まることなく進化を続けていくことこそ、生き残るただひとつの道であると信じて!

時代とともに、地域とともに・・・先人たちが「汗と涙」で築いた歴史と、今をお支えくださる皆様方に感謝を捧げつつ、健祥会グループへのなお一層のご支援ご協力をお願い申し上げます。

2019/01/01